「最近では、弊社はさまざまな車両産業向けに、開発サービスを一括して提供しています。水路、陸路、空路など、あらゆる手段を使って世界中のお客様にお届けしています。Suter社が他社と違うところは、設計やデザインから、製造、組み立て、さらに包括的なプロトタイプテストに至るまで、プロジェクト開発すべてを自社で手がけることができるという点です」とGiussani氏は続けます。「工程は短くなり、処理時間も速くなります。Suter社が有名になったのは、そのおかげなのです」。従業員は40人と、比較的小さな規模ですが、Suter社の顧客リストには錚々たる企業の名が連なっています。Kawasaki、BMWといった有名なオートバイブランドのほか、Liebherr、AlinghiやOerlikon Metco、さらに水上バイクメーカーのBelassiとも取り引きしています。Suter社が開発を手がけているもうひとつの重要な事業分野は、コンパクトな構造の補助動力装置APU(Auxiliary Power Units)で、例えばヨットや特殊車両の電源として使用されています。
テストベンチで幅広くデータを表示
Reto Karrer氏はSuter Industries社で開発主任を務め、すでに15年以上のキャリアがあります。Karrer氏は、かつてレーシングスポーツに積極的に関わっていた時代を経験しています。Suter社がMoto2シリーズで一時期、14台のマシンを走らせていた時、Karrer氏はレースの行われる週末になるとコースに出向き、作業に直接あたっていました。彼は現在、8人からなるチームを率いて、Suter社のあらゆる開発プロジェクトを担当しています。構想を首尾よく概念実証(Proof of concept)にまで持ち込むことが彼の仕事です。、困難な問題に対する解決策を見つけることができず絶望に追い込まれたエンジニアにとって、Karrer氏とそのチームが最後の希望となることも珍しくありません。「私たちには豊富なノウハウと機動力のある組織があります。おかげで、許される時間がわずかしかなくても、たいていの場合は打開策を見つけることができます。プロジェクトの1つひとつの局面を、時にはオーバーラップさせ、私たちはプロジェクトの目標達成に向けた開発時間を大幅に縮減しています。私たちにとって問題となるのは、技術的な構想をいかにして実際に機能させるか、ということだけです。これ以外のことはすべて後からついてくるのです。それに、プロトタイプにはいつもコストがかかると決まっているわけではありません」とKarrer氏は説明します。