測定技術のデジタル進化を加速させるキスラー

「センサからクラウドまで」。これは、キスラーが2020年代に実現を目指しているビジョンです。測定技術を駆使する開発作業やプロセスにおいて、ほとんどいつも出発点となるのは何でしょうか。それはもちろん、必要なデータです。最も重要な要因となるのは、データの供給と完全性です。将来的には、関連するソフトウェアコンポーネントは、ますますクラウド内のフレキシブルで可用性の高いサービスとして操作することになるでしょう。このモットーは、本当は「クラウドからセンサまで」とするべきでしょう。新しいキスラーのデジタルハブには、非常に動的な分散型測定セットアップからの全データが集まります。

デジタル化で、測定技術の進化はどのように加速しているのでしょうか。この問いに答えるために、もう一つ例を見てみましょう。現在、キスラーはスイス連邦鉄道(SBB)と協力し、普通列車のブレーキのメンテナンスを改善するプロジェクトを進めています。従来は、1個のセンサを各車輪に取り付けて測定する必要があり、その結果を紙に記録していました。しかし、新しいデジタルベースのソリューションでは、4個のセンサを同時に配置することができます。そのメリットは、各ボギー台車で1回の測定だけが必要になるという点です。評価とレポートも自動的に処理されます。関連する原データや生成されたレポートの原本は、デジタル的にシールされたパッケージに保存され、変更できないように保護されます。SBB内部でのデータ改ざんの最近の事例が示すように、これはかなり重要な機能です。

しかし、新しいデジタルソリューションのメリットは、制動力測定の効率化と信頼性の向上だけではありません。モジュール設計の原理により、複数の制動力測定システムを接続し、さらに大きなシステムソリューションをつくることが可能なのです。将来的には、わずか1ステップでの全列車の半自動ないし全自動での測定に道を開くものとなるでしょう。測定チャンネルの拡大と圧力センサの使用は、もう1つの利点をもたらす可能性があります。それは、車輪で作用する実際の制動力と並行して、空気圧を測定することで、制動システム全体の状態についての情報が得られるようになるという点です。あらゆる経時的測定のために収集された、高度に体系化された原データも、その後の解析で利用できます。これは、状態本位のメンテナンスなどの整備の基礎となり、製品ライフサイクルについての知識をもたらし、究極的には、ボギー台車などのコンポーネントの設計の改善につながります。

必要なだけのソフトウェア

キスラーでは、包括的でオープンなモジュール式ソフトウェアコンセプトを採用しています。これにより、破壊的変化という障害を心配せずに、段階を追ってデジタル測定システムの利点を手に入れる道が開かれます。個別のソフトウェアモジュールとインタフェース(デバイスベースであれ、アプリケーション志向であれ、プロセス特有であれ)は、すべて追加するモジュールやサービスと組み合わせることが可能なように設計されています。こうした方法により、どのユーザも自分の作業にちょうど必要なだけの(ソフトウェア)機能を入手することができます。また、キスラーでは、オープンなインタフェース志向のソフトウェアアーキテクチャを採用しています。いつでもユーザ独自のルーチンを組み込んだり、スクリプトを通じて作業ステップを制御・自動化したり、他の業者のデバイスやソフトウェアモジュールを測定技術エコシステムに統合することができます。

キスラーのベーシックバージョンのソフトウェアソリューションは、必要な機能範囲によって異なるだけでなく、意図する用途によっても異なります。一例を挙げると、jBEAM解析・可視化ソフトウェアは、StarterやProfessionalなど多様なバージョンが用意されており、また自動車用途向けのjBEAM PowertrainやjBEAM Durabilityなどの特定の産業向けの特別バージョンもあります。要するに、キスラーの一連の特定のバージョンやパッケージの中から、顧客は各自の要件に最適な、ぴったりのソフトウェア範囲を選ぶことができるわけです。  

すべてを1つのプラットフォームで。ようこそ、デジタルハブへ!

測定技術ソフトウェアの多くは、いまだに厳密に範囲が限定されたライセンス製品の形で販売されています。そして顧客のハードウェア(開発エンジニアのラップトップなど)にインストールされ、異なる(通常は定期的な)間隔でアップデートされます。しかし、この方法だと、共同作業プロセスや空間的に分散したフレキシブルな測定作業では、限界があります。こうした状況では、いつでもどこでもデータと情報にアクセスできる必要があるからです。機能範囲が固定された標準化されたソフトウェアバージョンの場合、業界特有の作業の効率的でユーザフレンドリーな処理に焦点を当てて設計されており、個別の特定の使用シナリオをマッピングすることは目指していません。

そこでキスラーでは、デジタルハブを開発し、形勢を一変させました。このプラットフォームには二つの利点があります。サービス型ソフトウェア(使用に基づくソフトウェア可用性)とサービス型プラットフォーム(特定の目的の測定技術アプリケーションを開発するための堅牢、高速、オープンな環境)が組み合わされているからです。デジタルハブでは、どのソフトウェア開発者も、わずか数ステップで特注測定データアプリケーションを開発できるはずです。これがデジタル化への取り組みの基本をなすビジョンです。

キスラーが開発を予定しているデジタルハブは、顧客が開発作業をするにあたって、信頼性の高い基盤となります。開発に重点的に取り組む主要な要件は、以下のとおりです。

  • セキュリティの高い、包括的な分散型測定セットアップの管理
  • 遅延を最小限に抑えた全測定データの高速処理
  • 関連する全メタ情報を含め、すべてのデータフローが完全で同期されていること
  • 測定システム全体を通じたデータの完全性と機密性の確保

試験ビッグデータ:小さくスタートし、大きく考える

包括的なグローバル分散型測定セットアップでは、たえず膨大な量のデータが生成されます。こうしたセットアップをうまく管理するには、フレキシビリティと高度なデータセキュリティが必要となります。これを踏まえ、デジタルハブでは、マルチテナンシーや選択可能なデータ保管などの機能が備わります。しかも、デジタルハブ自体で好みのクラウドプロバイダーを使用することも、社内の独自のデータセンターを使用することも可能です。「そして何よりも、新しいユーザは最初は小さくスタートして試行し、うまくいった場合は少しずつ範囲と機能を追加していくことができます。」と、キスラーのエンタープライズIoTアーキテクトであるStefan Applは述べています。たとえば、試験ビッグデータのプロフェッショナルなインデックス化と管理のためのMaDaMなどのツールや、記録された高品質の測定データに直接アクセスできるTensorFlowなどの機械学習フレームワークの容易な統合とトレーニングなど、多くのオプションがあります。そして彼は次のように結論付けています。「ここで原則となるのは、実際に使用するものにだけ費用がかかるという点です。関心がおありでしたら、ご連絡ください。そして今日からでも、分散型動的測定技術の世界に足を踏み入れてください。」

 

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