変わりゆくモビリティとスピード:車両ダイナミクスの測定技術の原点と進む先とは?

進歩とモビリティにより、スピードと効率性が向上しつつあります。ここ数十年間で車両ダイナミクス測定の精密な取得は飛躍的な進歩を遂げましたが、この技術は今後も車両最適化の主要な要因であり続けるでしょう。キスラーのCorrevitセンサ技術の例に基づき、過去と未来を考察してみましょう。

人とモノの移動は現代社会の根幹をなすもので、文化的・経済的な関係において重要な役割を果たします。鉄道と自動車がもたらしたスピードとモビリティの飛躍的な進化は、成長と繁栄の主要な原動力となっています。自動車の開発で特に重視されているのは、効率を高めること、つまりスピードを向上させ、資源の消費量を抑えることです。ただ、主に大都市圏における世界的な交通量の増加から見えてくるのは、管理を厳格化し、さらには交通をオートメーション化すれば、現在一般的な個々の交通様式よりも効率が改善されるだろうということです。

こうした開発は、車両の測定技術にどのような影響を与えるのでしょうか。今回はキスラーのCorrevitシリーズのセンサを例として取り上げ、多次元の位置および速度の測定の用途範囲に関する過去と未来の変化について見ていきたいと思います。道路に対する車両速度の非接触型のスリップフリーの測定の起源は、30年ほど前にさかのぼります。当時は画期的な成果だった相関則により、従来は考えられなかったような測定を実施することが可能になり、この測定は主にフル車両ダイナミクスの特性評価に用いられてきました。当時は、現在と同様、俊敏性、パフォーマンス、ステアリングの物理的限界を探ることに焦点が当てられていました。アクティブセーフティに関する要件が厳しさを増し続けていたからです。

タイヤの性能の最適化

ユーザーエクスペリエンスが蓄積され、各種システムの信頼性が向上するにつれ、応用分野としてタイヤの試験も進化し始めました。車両の進路と運動学を特定する測定技術の採用に加え、ここでの関心の焦点となったのは、個々のホイールやタイヤのダイナミックな伝達機能です。センサヘッドを試験車両のホイールに直接取り付けられるようになったことで、従来の(グリップの)限界値を超えるデータを収集できるようになり、より高い速度にも対応可能になりました。ここでも主要な要素の1つとなるのは、ホイールと道路の間の動きをダイレクトにスリップフリーで測定することです。

タイヤの性能は、特にモータースポーツでは非常に重要な要素となります。関連する温度枠でのタイヤのグリップと摩耗の開始がレース結果を決定することも珍しくありません。ここでも重要となるのが運動システムの(事前の)精密な特性評価で、これが今ではレースカレンダーの1項目として定着するに至っています。試験結果に基づいてバーチャルなタイヤモデルの物理的パラメータを導き出すことも、最先端技術の1つです。適切な校正機能を備えた高性能なシミュレーションツールは、シャーシとタイヤのセットアップの比較や、ラップタイムとレース戦略の最適化に向けて新しい可能性を開きます。現在のプロフェッショナルなレースでは、車両の横方向の速度(横滑り角)や個々のタイヤのスリップについて正確に知ることなく優勝することは、もはや不可能となっています。そして、まさにこうした情報を提供するのが、Correvitのセンサ(新しいSF-Motionなど)なのです。

テストドライバーからテスト乗員へ

これまでの応用事例は主にドライバーの体験に基づいていましたが、現在は(半)自動化運転および自動運転分野が急速に進展し、まったく新たな展望が開かれようとしています。異なる基準や車両パラメータも重要性を帯びつつあり、俊敏性やステアリングフィールと並び、乗り心地やストレスレベルなどが大きな関心を集めるようになってきました。従来のテストドライバーへの調査といったパフォーマンスベースのアプローチに代わり、乗り物酔いなどの側面に焦点を当てた被験者に対する広範な研究も実施されるようになっています。つまり、ドライバーから乗員へと、全体的な重点が明らかに変化してきたということです。同じ客観的な出来事(運転挙動など)に対する主観的な認識がドライバーと乗員ではまったく異なりうるだけに、こうした焦点が重視されるようになってきたのは当然と言えるのかもしれません。

こうして、自動車の開発では、ダイナミックな走行特性の客観的測定とアドバンスト・ドライバー・アシスタンス・システム(ADAS)の機能的保護に再び注目が向けられつつあります。車両の現在位置(または近い将来の車両の位置)に関する認識は、ドライバーの決定にとって最も重要な基礎となりますが、その決定を力強くサポートするようになったのが、力学的アルゴリズムです。適切なセンサと計算システムは、人間の目が知覚するものと、運転中にリアルタイムで脳が処理するものを確実にマッピングできなくてはなりません。測定に誤差や逸脱があると、乗員や車両のすぐ近くにいる人が死に至ってしまう可能性すらあるからです。

精度と並び、新しい要素として、車両ダイナミクス測定データに対する信頼性が脚光を浴びつつあり、これはリファレンスの選択にも影響を与えるようになってきています。衛星ベースまたは水平ベースの測定システムでは、走行環境に関する精密な地図記録、または追加の固定リファレンスが必要となります。一方、Correvitセンサを用いた路面に関するスリップフリーの測定では、いわゆる「地上検証データ」へのダイレクトリファレンスが可能になります。理想は、精度や信頼の基礎を高めるために、両方の測定原理を組み合わせて使用することです。そして、こうした目標を達成しているのがキスラーのS-Motionシリーズのセンサで、こうした「センサフュージョン」の利点をすでに備えているため、信号品質が著しく向上しています。

空を飛ぶ – ただし安全に

道路ベースの速度測定を超える次なるチャレンジの1つに、3次元への飛躍があります。ロボット化されたエアタクシーや自律型ドローンがあれば、深刻になりつつある空間不足や現在何kmにもわたって続いている渋滞を緩和するのに大いに役立つはずです。これらの用途には、正確な空間座標に基づく精密な制御が欠かせません。これもまた、測定技術にまったく新しい問題を投げかけます。ただ、こうした輸送手段も、キスラーのマルチセンサアプローチによって追跡することは可能です。とはいえ、こうした飛行型の車両の場合、やはり大きな障害となるのが、経済面、そして環境面での総合的なバランスです。コンセプト段階やプロトタイプ段階を越えて革新技術を発展させるには、こうした障害を克服しなくてはなりません。必要な条件が揃うまでは、あらゆる車両試験にとって、Correvitベースの速度測定が標準リファレンスであり続けることになるでしょう。 

 

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