圧電式測定技術を用いた切削プロセスの確実な監視

切削プロセスでは、非常に多様な特性が表れることが多く、それを確実に監視するのはかなり困難です。マイクロ分野の特殊なプロセスでは、特に細心の注意が求められ、十分に監視することはなかなかできません。そうした場面で力となるのが、キスラーの圧電式フォースセンサです。このセンサは非常に大きな測定範囲に対応しており、非常に小さな力でも確実に検知でき、刃の状態に関する情報を把握できます。

切削時には、大きな表面力が材料と切削工具に作用します。そのため、切削工具の寿命に制限がかかり、寿命が素材や用途によって変化します。特にマイクロ分野や難加工材の場合には、この寿命が大きく変化します。ただ、人の耳や目だけでは刃の現在の状態について確認できないため、自動化されたプロセスへの統合を実現するに足る確かな情報は得られません。

マイクロ分野における課題:プロセス信頼性のある切削

ウィンタ-ツールにあるキスラーの製造スタッフもこの課題に直面することになりました。測定技術のエキスパートであるキスラーは、非常に高感度な圧力センサ用のクランピングスリーブやダイヤフラムを製造しています。壁厚がちょうど0.06 mmの極めてコンパクトな構造であるため、ニッケル鉄合金が使用されています。この合金は一般的なスリーブの材料と比較すると、熱膨張率が低く、温度範囲は高めになります。しかしながら、この合金はかなり切削の難しい材料でもあります。強めに接触するとすぐに変形してしまうため、これが製造時の工具の頻繁な破損や不良品につながります。また、工具の寿命も非常に短く、その長さもばらつきがあります。

自動化加工プロセスの情報

キスラーでグループリーダーを務めるSeverin Hosmannはこう話します。「寿命がばらつくため、私たち製造スタッフはこれにかなり悩まされました。それぞれの機械に常に注意を払わなくてはならず、1枚の刃で製造できたクランピングスリーブが20個の時もあれば、50個の時もありました。このようにかなり非効率的だったので、長期的にこのプロセスを最適化できるシステムが求められていました。」

そこでチームはまず、主軸モータの駆動力を監視して、刃の状態を評価しようとしました。ただ、この方法は、ドリル穴径が3 mm以上となる材料でしか利用できません。マイクロ分野の場合、機械の主軸の質量とスピンドル内の摩擦損失が大きすぎるため、この方法はあまり生産的とは言えません。これらが変動要因となり、切削プロセス自体よりも部分的に大きな信号因子を生み出すことがあるためです。感度が十分とは言えないため、こうしたソリューションを自動化に組み込むことはできません。

解決策となる圧電式力測定

解決策を見つけるために、圧電式力測定をベースにした新しいセンサコンセプトを作り上げ、自社製の高分解能なSlimLineフォースセンサを備えた旋削工具をプラスすることにしました。このセンサは、剛性が優れており、すばやく変化する引張力と圧縮力を測定するのに大変適しています。さらに、測定システム、機械の制御装置との接続のほか、この用途のために特別にプログラミングしたソフトウェアもインストールしました。このセンサコンセプトの適性を裏付けるために、金属加工のスペシャリストたちが広範囲にわたる一連のテストを実施し、回転試験のたびに、材料の厚さなどの試験寸法すべてを測定プロトコルに記録しました。チームは極めて短い期間内に約1,500回の切削試験を実施し、対策やその他の処置について貴重な知見を得ることができました。

力の信号によって摩耗に関する情報を把握

キスラーで切削加工分野の戦略的事業統括責任者を務めるGunnar Keitzelは、この結果に非常に満足しています。「一連の試験で、十分な成果がもたらされました。私たちのセンサコンセプトが、マイクロ切削時の力の測定に適していることが証明されたからです。これにより、プロセスのごくわずかな変化でさえも明らかにするこが可能になりました。」圧電式力測定により、工具の状態と形状が加工プロセスでの力のレベルに大きな影響を与えることをはっきり示すことができました。摩耗が増えるにつれ、工具の負荷は偏って高くなっていき、それが刃の寿命を著しく縮め、工具が突然破損する原因となっていました。こうした事態になると、製造を何度も停止させる必要があり、不良品の数も増えていました。

プロセスの最適化から状態の監視まで

この知見を受け、加工プロセスが調整されることになりました。特に力を入れたのが、発生する力を最小限に抑えるために切削量を最適化することです。また、機械の制御装置に直接接続することにより、刃の状態に応じて工具を動的に調整できるようにしました。これにより、工具の寿命が明らかに長くなり、プロセス信頼性も向上しました。キスラーのSlimLineフォースセンサを採用することで、連続的な工具監視が可能となりました。このセンサは、製造中に非常に小さな力を測定することができます。製造スタッフは、その情報に基づいて刃を交換すべきタイミングを把握でき、不良品の発生を事前に回避できるようになりました。

物理的な限界を計算するための信頼できるデータ

Severin Hosmannは次のように述べています。「測定することは、すなわち知ること、知ることはすなわち理解することです。機械内の工程を理解して初めて、パラメータを分析し、工具の性能や品質管理を調整できるようになります。私たちはこれまで、送り、回転数、切削深さなどについてはメーカーの指示を受けながら作業していました。ただ、その多くが推測に基づいたものだったため、処置にばらつきが生じていました。しかし、今はこの新しいシステムのおかげで、実際のデータに基づいて作業できるようになりました。将来的には、工具パラメータが切削力の形で示されるようになるでしょう。私たちのケースでは、このソリューションによってプロセス全体が透明化し、物理的な限界を前もって予測できるようになりました。」

コンセプトを実践で証明

このシステムはすでに実践で証明され、今後PTS(Piezo Tool System)として市場に投入されています。PTSは、大量生産はもちろん、単体部品製造時のプロセスの最適化や状態の監視にも適しています。Gunnar Keitzelは次のように述べています。「製造部門の同僚は、加工プロセスを監視する適切な方法を探していました。そして、私たちはセンサを実践でテストできる場を求めていました。この2つが重なり合い、このシステムを自社の製造現場で直接テストするという可能性が生まれました。その際に、プロジェクトを成功裏に終える決定的な要因となったのは、関係者全体のすばらしい協力体制です。」

 

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