マルチキャビティ金型を確実にコントロール
ドイツのミュールタールにあるRiegler社の射出成形製造の大部分は、最新の機械と設備で高度に自動化されて稼動しています。最大96キャビティをもつマルチキャビティ金型が使用されており、これらは開発および設計部門で考案され、30人の従業員が従事する自社の金型製作の現場にて製造されています。エンドユーザーの要求と期待は非常に高く、 当然ながら品質とコストは重要な要素です。また良い評判は常にサプライヤーにとっても重要な役割りを果たします。
検査室分析用の2ピース式試薬容器の射出成形の場合、マルチキャビティ金型を用いて製造され、一時期、製品のばらつきが生じたことがありました。オープンゲートホットランナー内での圧力損失により、約20万個内に最大30個不良品が発生しました。
「センサがなければ、問題がいつ、どこで発生しているか特定することは事実上不可能でした」
Christoph Merhold、Riegler GmbH & Co. KG
「キスラーは、以前のプロジェクトですでにコンタクトがあったことと、型内圧センサで定評があったので、私はすぐに連絡を取りました」
キスラーのセールスエンジニアPeter Jostは、最高品質の射出成形を確実かつ快適に行うためにプロセスモニタシステムComoNeoを推奨しました。「まさに緊急性があると認識したため、私たちはまずRiegler社に機材を持ち込み、試験できるようにしました。最初の段階で疑いをもったのがまさに射出工程です。ここでは、ほぼ必ずと言っていいほど経験値が用いられています」と、Jostは述べています。ComoNeoを用いて型内圧をモニタすることで迅速に課題に対処し、不良部品(ショートショット)を選別することができました。その後、ComoNeoを特殊キャップ製造用の3台の機械に組み込み、さらなる3台の機械への組み込みも予定されています。
「システムによってショートショットを自動的に選別するだけでなく、自動化レベルも向上し、メンテナンスも容易になります。ユーザーとして、金型内で何が生じているのか、どのキャビティに問題があり、どのように通気が行われているか、どのキャビティが充填遅延が発生しているかなどが詳細にわかります」とMerhold氏は喜んでいます。「キスラーがきわめて迅速に技術サポートを対応してくれたことは、私は非常に高く評価しています」 ComoNeoのHMI(ヒューマンマシンインターフェース)は、成形機に取り付けられており、オペレーターが稼働中の射出成形プロセスについてすばやく把握し、完全にコントロールすることができます。「操作の容易性についても私はキスラー製品を強く支持します。本当にすばやく操作に習熟でき、私たちのスタッフは簡単なトレーニングを終えた後、自分ひとりで正しく操作できるようになりました。」と、Merhold氏は付け加えます。
プロセスデータ - 品質管理と開発の基礎
キスラーの型内圧センサは、堅牢性にすぐれ、優に1,000万サイクルの使用に耐え、プラスチック分野での大量生産時に必須の特性となっています。「さらに付け加えるべきは、センサに交換可能なシングルッワイヤケーブルが使用されていることです。取扱いの点で見逃してはならないポイントです」とJostは語ります。「ケーブルが取付け時に損傷することがあるため、このケーブルなら簡単に交換でき、センサ全体を交換する必要がありません。」
ComoNeoにより概要と貴重なプロセスデータが得られることで、Merhold氏とRiegler社の同僚にとって新しい成形部品の開発と、特に射出成形プロセスにおける長いフローラインにおいて役立っています。 リスタートアシスタント ComoNeoRECOVERの統合により、実証済みの設定を簡単に他の射出成形機で再現することができます。「プラグ アンド プロデュース」は、プラスチック成形加工において、もはや単なる願望的思考ではありません。「そして何か事が生じた場合に、 私たちキスラーは、より良いサービスが提供できるように尽力して行きます。」と、Jostは述べます。「交換部品であれ、コミッショニングであれ、従業員向けのトレーニングであれ、私たちは最善を尽くしてお客様をサポートします。」
Merhold氏が同意してうなずき、次のように語ります。「キスラーとの連携作業ほどうまくいっている例はなかなかありません。キスラーのスタッフは常にアプローチしやすく、すでに数多くの小さな改善を一緒に実現してきました。」 最後にRiegler社における将来の展望について述べました。「次のステップとして新しいMESシステムとの接続を改善し、考えられる不良部品に対して原因を詳細に把握できるようにすることです。たとえばQRコードを介してそれぞれの部品に寸法、製造中の内圧、その他のプロセスパラメーターを付与することで、トレーサビリティ面を一段と強化することです。最後に、お客様と最終ユーザーの信頼を確かなものとし、患者の安全性を確保することです。」